アート竜巻フェスタ@URAWA U

2008年11月1日〜3日、16日、23日、12月7日

7月に北浦和の県立近代美術館を起点に始まった《アート竜巻フェスタ》は、川越、入間、鳩山、川口をめぐって11月に再び北浦和に戻り、フィナーレを迎えることとなりました。フェスタ@URAWA Uは、11月1〜3日の〈風をさわる〉や〈風をたのしむ〉の各種プログラム、風車のインスタレーション、ダンス、バスカメラとアーティストトークが集中しクライマックスとなる16日、音響空間ライブと芸術文化振興シンポジウムが行われた23日の3部に分けて開催されました。

1 好天に恵まれたオープンニングの各種イベント:11月1〜3日

松本秋則さんの〈竹のサウンドオブジェを探して楽しいアート散歩〉では、夏と同様に北浦和西口銀座商店街が舞台となりましたが、軒先やストリートにサウンドオブジェを点在させてつないでいく前回の手法とは異なり、今回は各店舗が出前美術館・ミニコンサート会場として楽しめるように、三つの店舗(レディスファッションのハトヤ、横内酒店、お菓子のふじや)の店内に商品と混ざりあって、それぞれ10点ほどのサウンドオブジェを集中して設置しました。

—最近の展示は変わった場所でやることが多い、今回は営業中の酒屋さん、洋服屋さん、お菓子屋さんだ。ナビスコクッキーの横に竹のサウンドオブジェが置いてあり、竹のリズミカルな音を奏でている、ワインセラーの中にサウンドオブジェが収まりビィーンビィーンとムックリの様な音をたてている、洋服屋さんでは、ドレスの横で竹の太鼓がドンドコドン。買い物に来たお客さんがいつもと違った店の様子に気付いて、「この竹の音は何ですか?」「出張美術館の作品です。」と店の奥さんが答える。なるほど、なかなか説得力がある、美術館と言われただけで竹のサウンドオブジェがありがたく見えた。
松本秋則(不思議美術家)


サウンドオブジェ(浦和)サウンドオブジェ(浦和)サウンドオブジェ(浦和)サウンドオブジェ(浦和)サウンドオブジェ(浦和)サウンドオブジェ(浦和)サウンドオブジェ(浦和)サウンドオブジェ(浦和)サウンドオブジェ(浦和)サウンドオブジェ(浦和)サウンドオブジェ(浦和)サウンドオブジェ(浦和)サウンドオブジェ(浦和)サウンドオブジェ(浦和)

また11月1日には、北浦和公園彫刻広場の園路にコースを設営し、風を受けて鳴るサウンドオブジェを自転車に取り付けて周回し、風と音と不思議な時間を体感する「サウンド・サイクル・サーキット」を開催しました。好天に恵まれ小さなお子さんから、親子連れ、お年寄りまで、73名が参加し、爽やかな風を切ってホラ貝のような独特の低音を鳴らしながら不思議なサイクリングを楽しみました。大きな音を出すには長い直線での加速が必要なため、周遊コースのほか、直線のレーンも併用して行いました。

サウンド・サイクル・サーキットサウンド・サイクル・サーキットサウンド・サイクル・サーキットサウンド・サイクル・サーキットサウンド・サイクル・サーキットサウンド・サイクル・サーキットサウンド・サイクル・サーキットサウンド・サイクル・サーキットサウンド・サイクル・サーキットサウンド・サイクル・サーキットサウンド・サイクル・サーキットサウンド・サイクル・サーキットサウンド・サイクル・サーキットサウンド・サイクル・サーキットサウンド・サイクル・サーキットサウンド・サイクル・サーキット

続いて11月2日には、関連事業としてART FANS主催による「アートフリーマーケット」が北浦和公園で行われました。

—COM ART+!! アートフリーマーケット
北浦和公園で開催。当日は、晴天にも恵まれグループ10組、個人5名の県内外のアーティスト達が参加。絵画・陶芸・彫刻・切り絵・イ/ラスト・似顔絵・ダンスパフォーマンス・サクソフォン四重奏等、多彩なジャンルの出展で、会場には多くの市民が来場し賑わいを見せた。主催のART FANSは、埼玉県立近代美術館と共催し、若手アーティストの作品発表の場として、また地域市民へのアートのアウトリーチ活動の一環として、3年前より継続開催している。今回は、ワーク小原恵利子ショップLINKチームの協力で、親子ワークショップを開催。「北浦和の守神」をテーマに、公園内の落ち葉や木々等を使って各自の守神を作成。200名以上の親子が参加した。
小原恵利子(ART FANS代表・本プロジェクト運営委員)


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11月3日の文化の日には、うらわ建築塾の青山恭之さんを講師にお迎えして「うらわアート散歩」が開催されました。北浦和公園を出発し中山道、常盤公園、旧中山道、浦和駅西口を経て、調神社、玉蔵院、さらに別所沼公園まで、100以上の見所を回る内容ぎっしりのコースですが、露地や抜け道も自在に使いこなす青山さんの名ガイドであっという間の3時間。この身近なエリアにこんなにもたくさんの文化資源があることに気付き、休日にゆっくり浦和を歩きたくなりました。ゴールの別所沼公園では、詩人・立原道造の夢の家・ヒアシンスハウスの前で、ちょうど「夢まつり」が開催されており、参加者もいっしょにハウスの前庭に風車を植え、詩人ゆかりの空間で風車とコントラバスとダンスの幻想的なコラボレーションを楽しみました。

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2 アメニモマケズ!風車クライマックス:11月16日

千の風車が立ち並ぶ夢のような空間、そこで繰り広げられる夢のようなひとときや夢のことども。この夢を現実に体験するために初夏のころから大勢の人々が力を合わせてきました。クライマックスとなる11月16日の朝、開館前の美術館エントランスに風車のボランティアを中心に総勢90名を超す方々が集まりました。あたりには大きな段ボール箱や大小の風車など、設営準備の品々があちこちに積み上げられています。
 予報では降水確率は40%、午後からは50%を超えしだいに高くなっていました。朝礼と作業班のグループ分けを終え、荷物を外に出して作業にかかろうとした矢先、早くも雨粒が落ちてきました。今日は1600本もの風車を2時間余で並べる日です。ひるんではいられません。段ボールを濡らさないように手持ちで風車を持ち出す人たち、マーキングした芝生にラインを出すロープを張るグループ、風車を放射状に密集させて置き風車そのもので巨大な風車を造形するグループ、長机を戸外に持ち出し、スタンドや羽根の調整を行うグループ、…。濡れるのをものともせず、作業が進められていきます。
 ダンスチームのリハーサルも小雨の中ではじまりました。バスカメラの設営・飾り付けも並行して進んでいます。芝生には美しいラインが立ち並びはじめ、エントランスの風車の巨大風車もしだいにかたちを成してきました。こうして11時半過ぎには予定通り設営を終え、準備が整いました。
 7月、美術館からこぼれ落ち旅に出た小さな風車は、多くの人々に支えられて各地を巡り、何倍もの風となって北浦和公園に帰ってきました。小雨模様なのに風のない日でした。子どもたちが頬を膨らませ息吹で風車を回そうとする姿、カメラを構えてシャッターを切る日曜カメラマン、通りがかりの一行も風車を背景に記念撮影。そんな光景があちこちで見られました。

風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)風車(浦和)

バスカメラの外部装飾は、埼玉大学教育学部美術専修の2年生有志が共同制作しました。くるくるまわる風車、まわりながら広がっていく風をイメージしてデザインした力作です。
 バスカメラも各便ともほぼ満席となり、12時から16時まで計5回の運行でのべ103人が乗車、ケヤキ街道や新都心、中山道沿いの身近な風景をいつもとは違った異次元の世界で体感しました。

バスカメラ(浦和)バスカメラ(浦和)バスカメラ(浦和)バスカメラ(浦和)バスカメラ(浦和)バスカメラ(浦和)バスカメラ(浦和)バスカメラ(浦和)

午後には、園路や左右の芝生を中心にダンスパフォーマンスが展開されました。集まって来て見入る人々、道すがら足を止める人、撮影する人と、すぐにあちこちに人だかりができました。各会場で上演されたプログラムに加え、この会場用の新作2本を加えて進んでいきます。濃い緑に包まれていた夏場と違い、落葉の季節ですから公園の彩りもまばらな緑、黄から紅まで実に多彩で、風車の多種多様な色合いと美しく響き合っています。そんな空間のただ中でダンサーの皆さんもそれぞれに、時にダイナミックに、時にしっとりと、コミカルにコケティッシュに、抒情的にあるいはシニカルにと、さまざまな感情の振幅と陰影が伝わってくる身体表現を見せてくれました。締めはもうおなじみになった《アートがまちにやってくる》です。ダンサーと手をつないで一緒に踊る人、ステップを踏み手をたたく人。ツアーの最後に当たり、ダンサーの皆さんの紹介もありました。夏から秋へ4ヶ月にわたって5会場を巡った長いツアーをやり遂げ緊張から解放されて皆さんの表情には素敵な笑みがはじけていました。
 音響機材をもう少し整えて音響的にも良い条件を作ることができれば、素晴らしいパフォーマンスをより生き生きと多くの方の脳裏に刻むことが出来たことでしょう。

ダンスパフォーマンス(浦和)ダンスパフォーマンス(浦和)ダンスパフォーマンス(浦和)ダンスパフォーマンス(浦和)ダンスパフォーマンス(浦和)ダンスパフォーマンス(浦和)ダンスパフォーマンス(浦和)ダンスパフォーマンス(浦和)ダンスパフォーマンス(浦和)ダンスパフォーマンス(浦和)ダンスパフォーマンス(浦和)ダンスパフォーマンス(浦和)ダンスパフォーマンス(浦和)ダンスパフォーマンス(浦和)ダンスパフォーマンス(浦和)ダンスパフォーマンス(浦和)ダンスパフォーマンス(浦和)ダンスパフォーマンス(浦和)

心配された雨も、一瞬ぱらつくことはあっても、日暮れ近くまでは本降りにはならず、フェスタの終了を待ってくれました。夕方、総出で風車を回収し、屋内で水気を拭きスタンドをはずして収納する作業にかかる頃、待ちかねたように大粒の雨が降り始めました。アメニモマケズのこのアート竜巻フェスタを象徴するような一日でした。

3 SAITAMA ミューズ・フォーラムに向けて:
 芸術文化振興シンポジウム、交流会、空間音響ライブ:11月23日

アート竜巻フェスタを中核とする今回のプロジェクトは「LINK!ミュージアムからアートの風を!!」という事業名から示唆されるように、ミュージアムをキーステーションとして各種の連携の手がかりを紡ぎ出すことをめざすものでした。また「風」をキーワードとして公園や商店街など身近なさまざまな場所で多様なアートの可能性を提案し発見し試行する事業でもありました。
 このプロジェクトは、惜しみなく素晴らしい作品やパフォーマンスを提供してくださったアーティストの方々やダンサーのみなさんをはじめ、のべ500人に及ぶボランティアの方々、激務のさなかに実行委員や運営委員を手弁当で引き受けてくださった方々、その他さまざまなかたちでご支援ご協力をいただいた個人・団体など、実に多くの方々の協同によって実現されたものです。プロジェクトの実現までの過程でたくさんの出会いや発見があり、多くの協同作業が行われてきました。端緒についたこの協同が個人から団体までさまざまなレベルで編み込まれ深められていくことによって、将来的にアートを愛する県民とアート関係者、アート関係諸機関・団体の機能するネットワークづくりが達成されることでしょう。
 今回の事業は、「アートの風」をともに運びながら、このような将来のネットワーク「SAITAMA ミューズ・フォーラム」実現の夢を共有し、その可能性・有効性をアピールする機会でもありました。プロジェクトの始動にあたり、実行委員会では「SAITAMA ミューズ・フォーラム(略してSMF)」と今回のテーマである「アートの風」をデザインしたロゴマークを作成し、チラシ等の印刷物やホームページに使用するとともに、缶バッジやTシャツを作成し、手弁当でご協力いただいたボランティアや各種の委員・協力者に配布しました。フェスタ当日には、SMFのロゴ入のTシャツをみんなで着用して設営作業や運営に当たりました。決して十分とは言えない予算でも、多くの方の協同によってこれだけの規模の素晴らしいフェスタを県内各地で開催することが可能になったのです。
 フェスタの一環として「タウンキュレーター養成講座」や「芸術文化振興シンポジウム SAITAMA ミューズ・フォーラム―使えるシステムにするために」が開催されたのは、このような背景によるものです。
 シンポジウム終了後にはプロジェクトの打ち上げも兼ねて交流会を開催、プロジェクトにボランティアとして尽力してくれた各大学の学生ボランティアも多数参加して語り合い交流を深めました。

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(記録・文責:中村誠・《アート竜巻フェスタ》事務局)