SMF Press号外2(2013.3.21)裏面

「SMFさんなすび展」&
アート寺子屋「アートプロジェクトができるまで」

埼玉県立近代美術館の一般展示室で1月8日から13日まで「SMFさんなすび展」が開かれ、連動してアート寺子屋「アートプロジェクトができるまで」が開催されました。縁起の良い初夢を一富士、二鷹、三茄子などといいますが、新春にちなんでみなさんのアートの初夢教えてくださいと、これまでSMFの活動に関わってくださった方や12月のラウンドテーブルにご参加いただいた方に呼びかけての開催となりました。時間も予算もない中、22名から28件の多彩なアートの初夢を寄せていただきました。ご出展いただいた方々に感謝いたします。
実は本展の構想のヒントが三つありました。一つ目は世界各国のアーティストに実現しなかったアートプロジェクトについてリサーチしその結果をまとめた「Unbuilt Road 107 Unrealized Projects」(1997)、二つ目は埼玉県立近代美術館で開催した極小予算の企画展「夏休みの美術館」(1996)、三つ目は、誰でも建築家のノリで参加できそうな、ネット空間を主軸にした「一万人の世界建築家展」(2011)です。それぞれがさまざまな工夫で新たな局面を開く方向を示唆しており、この「さんなすび展」もいつかこうした展覧会にならって大化けしたいとの夢を重ねたものでもありました。
「木の棒の集合体(あなたもだいく)」、「記憶の容(かたち)プロジェクト―時間遡行機」、「花咲かアートさん」など、アーティストから提案された、大勢の人が関わり自然の中で時間をかけて熟成・実現したいプラン。「貧藝運動はさいたまから始まった」、「1日くらい黙って、言葉について考えよう」など、芸術の概念やアートが生成する場を問い直す試みの提案、「夢見る アートハウス プロジェクト」、「A.I.S.[Art Infomation Saitama]」、「いっぷくチェーンプロジェクト」、「SMF出版計画」、「SMFオフィス+書店」など、アートを社会に根付かせるいろいろなアイデア、「まちなみのフレーム(住宅地編)」、「カプセルmeetsヒアシンスハウス」(来場者提案)など建築家ならではのプラン、さらに自身の作品や活動を展開させたイメージ作品まで、A4判2ページが基本フォーマットの限られた紙面ですが、それぞれの豊かな夢が詰まっており、来場者やアート寺子屋の参加者からは「全部やりたいね」、「見てみたい」、「参加したい」といった声が次々に上がっていました。
会場でもっとも注目を集めたのは、社会芸術/ユニット・ウルスのみなさんが、炭粘土製のロートやもみ殻、燻炭、灰などを持ち込んで制作したインスタレーション作品「ウルスの泉―龍神プロジェクト」。歴史や風土、あたらしい水、自然との調和、人々の協働など、壮大な構想を元にしたプロジェクトを象徴的に視覚化した作品で、来場者投票でも一番人気となりました。
2日間にわたって行われたアート寺子屋では、出展者によるプレゼンを受けた後、共通点のあるアイデアをまとめたり、相互につないで可能性を広げたり、実現に向けての課題をクリアするため情報交換を行ったりと、自由闊達な意見交換の場となりました。また参加者同士が意気投合し共同で実現を図ろうと、直談判をはじめた方々もいらっしゃいました。ぷうーっと膨らんでくる餅を眺めながら、近い将来、いくつの夢が実現されていくか楽しみです。(M.N)

執筆:(Y.A.)青山恭之/(M.N.)中村誠
編集:SMF広報委員会 発行:Saitama Art Platform 形成準備事業実行委員会
〒330-0061 埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1 埼玉県立近代美術館内
問合わせ:
文化庁 平成24年度文化遺産を活かした観光振興・地域活性化事業(ミュージアム活性化支援事業)
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